こんにちは。夢の宮へようこそ。

管理人のEki-MAJOです。

 

天神様、菅原道真公のことを書いたので、

この方のことも書かないと片手落ちと気づきました。

 

日本史の悪役、藤原時平。

 

関西人は「北野の天神さんを苛めたヤな奴っちゃ」と思っておられる方が多いでしょう。

しかし、実際は彼は真面目に藤原氏第一と考えて、道真公を追い落としただけです。

(菅公にとっては、大災難でしたが)

事件の時、彼はまだ30代で老獪なやり方を知らなかった。

性格的にも、かなりきついところはあったみたいです。

 

cbf465d0.jpg

『菅原伝授手習』 三段目 車引きの場

 

 

しかし、意外なことに千葉県八千代市には時平を祀った神社が四社あります。

(時平神社四社)

時平の妻子らが住み着いたとも、ここに藤原氏の荘園があったともいわれています。

(神社の創建は古いもので江戸時代なので、そこは今ひとつ謎ですが)

 

この四社の周辺には、天満宮はありません。

そしてこれらの神社の氏子の皆さまは、絶対に天満宮にはお参りしないのだとか。

 

兄のお陰でトクをしたのが、弟の忠平。

(贈り名は貞信公 百人一首に

「小倉山 峰のもみじ葉 こころあらば いまひとたびの みゆき待たなむ」の歌があります)

 

兄・時平の一族の男性はみな早死にしたので、

藤原氏の氏の長者の地位は、弟の忠平が受け継ぐことになります。

忠平は、兄とは違い温厚な性質で、太宰府に流された菅公とも文を交わしていました。

 

00043ccc.jpg

『北野天神縁起絵巻』

 

おそらく菅公の死後、密かに供養を続けていたのでしょうし、息子にも言って聞かせていた。

清涼殿落雷事件の阿鼻叫喚の《修羅場》の現場に忠平は居合わせ、

すべてを見ていた可能性が高いからです。

北野天満宮の壮麗な社殿の基礎を築いたのは、忠平の息子・師輔(もろすけ)です。

(現社殿は豊臣秀頼の再建による)

 

忠平の温厚なやり方のお陰で、忠平とその一族は菅公の祟りを逃れ、

子孫たちは「望月の欠けることなき」栄華を味わうことが出来ました。

(祟り神の天神様を丁重に祀りあげることで、藤原氏の準『氏神』とする逆転の発想!

やっぱり藤原氏は頭がイイ!)

 

ミステリー的に一番トクをしたのが犯人とすると、忠平、食えないヤツなんですが。

でも、やはり良い人なんでしょうね。

 

兄の縁者が、下総に逃れても密かに援助したのではないかと思われます。

 

良い人で、しかし食えない。政治家として兄より優秀な人だったかもしれません。

忠平は、宇多天皇との関係も円滑でした。

(なぜか、安倍ちゃんの顔が浮かんでくる)

 

日本史では、悪役もどこかで救われる《装置》をつくっておかないと禍根を残す。

日本史では一番の悪人は『怨霊』をつくったヤツなんです。

だから、時平は超悪役なんですが、どこかに救いを残す。

まさに、丸く治める『和』の知恵。

 

『菅原伝授手習』 藤原時平(しへい) (二代目中村雁治郎)

 

この『悪』のド迫力!公家荒れという隈取(くまどり)に王子という鬘、誇張した公家衣装。

芝居では「ときひら」と読まず、「しへい」と読みます。フィクションということわりでしょうか。

 

冷酷非情な時平卿の目を逃れて、菅丞相の若君・菅秀才を逃すために

舎人の松王丸は我が子を身代わりするという尋常でない手段を用いて

一発逆転の手を打つのです。

時平卿の権力の偉大さがあればこそ、この非情の決断に見る者は泣ける。

 

身代わりなんて時代錯誤と感じないのも、時平卿の『悪』の存在感ゆえでしょうか。

 

 

 

時平のことを考えると、『忠臣蔵』の吉良上野介のことが浮かんできます。

 

『仮名手本忠臣蔵』 三段目 塩谷判官(中村梅玉) 高師直(市川左團次)

出典:http://www.ntj.jac.go.jp/50th/

 

 

江戸時代は実名で劇化できなかったので、

歌舞伎では、浅野内匠頭=塩谷判官、

吉良上野介=高師直(こうのもろなお)となっています。

高師直は塩谷判官の美人の奥方に横恋慕して、

フラれた腹いせにネチネチと塩谷判官をいたぶる様子が実に嫌らしく、

判官が気の毒になってきます。

でも実は高師直役は、名優が演じる役どころなのです。(時平役も名優が演じます)

 

どちらも日本史の嫌われ者、でも重要な役どころ

 

徹底的に嫌われて、でも守る人は守ってくれる。

実際の上野介は領地では仁政を施し、領民から慕われていました。

 

なので旧吉良の領地(愛知県西尾)の人々は、

今も『忠臣蔵』を領内に入れないと頑張っています。

 

(幼かった姪に『忠臣蔵』の話をしたところ、彼女は「お爺ちゃん、可哀そう」との感想でした。

どうも老人いじめの話(笑)と思ったらしい。そりゃ、47人で1人を討つんだからなー)

 

最近は、『忠臣蔵』のドラマも作られなくなっているので、

子供たちはどうやって歴史を学ぶのでしょうか?

 

 

以前に吉良の本所松坂町の屋敷跡に行き、祝詞を唱えたことがあります。

 

「討つ者も 討たるる者も もろともに 

如露亦如電 にょろやくにょでん ) 応作如是観おうさにょぜかん」 (大内義隆 辞世) の気持ちで。

 

「如露亦如電 にょろやくにょでん 応作如是観おうさにょぜかん)」とは、

禅語の一句で「人生とは露のようにはかないものだ、まさにそう思い知るべきだ」という意味。

 

大内義隆は漢詩も得意なインテリ武将だったので、

つい(討たれる直前の)辞世の句にも漢詩を入れた。

今なら、短歌に英語を読み込むといった感じでしょうか。

 

祝詞は先祖供養にも使えるので、死者を慰めるには最適です。

 

もちろん、泉岳寺にもお参りしたこともあります。

 

三百年経っていますから、まさに「討つ者も、討たるる者も もろともに・・・」

恩讐を超えて、の気分でした。

 

 

悪役が魅力的な『悪の華』だと、ドラマが盛り上がるといいますが、歴史でもその通り。

悪役が冷酷非道であればあるほど、主人公の《光》が際立つ。

最後に極悪非道で鉄壁の強さの悪役が見せる意外な一面に、見る者はグッとくる。

(この鉄板パターンが『スター・ウォーズ』のベイダー卿)

 

ダース・ベイダー

 

 

最近は見事な『悪の華』がいない。せこいつまらない悪は、うんざりするほどいるのに。

世の中つまらない、とため息が出てきます。

 

 

 

ae722c66.jpg

『おんな城主 直虎』より 小野但馬守政次(高橋一生)

 

『おんな城主 直虎』で、本日(8/20)、

高橋一生さん演じる小野政次が、壮絶な最期を遂げました。

歴史上では井伊家にとって『裏切者』である小野政次を

脚本の森下圭子氏は、実に魅力的なキャラクターにして甦らせました。

また高橋一生さんの熱演で、生きた人物になったと思います。

近年の大河ドラマはハズレばっかりだったのに、今年は珍しいくらいにアタリでした。

スィーツ大河と言われたキラキラ女子路線を、完全に払拭した感があります。

(NHK、マトモになりつつあるのか?まだ油断は出来ませんが。来年は、またハズレっぽいし)

 

裏切者として、井伊家を生かすために生きる・・・、

その意気に応じて直虎(柴咲コウさん)も

「政次がゆくというのなら、我が送ってやらねば」と応える。

その送り方が・・・!森下氏の脚本はいい意味での裏切られ感があり、そうくるかーと。

戦国女子の愛は、純粋で壮絶。不覚にも泣けてしまいました、合掌。

悪人も一人でも泣いてくれる人がいれば、それで救われるのです。

 

善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや (親鸞聖人)

 

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

皆さまがお幸せでありますように。