こんにちは。夢の宮へようこそ。

管理人のEki‐MAJOです。

 

フランスの新大統領はマクロン氏になった時、「ああ、フランスは終わるわ・・・」と思いました。

ルペン氏のほうがフランス第一で、何とかなったのになぁ、うまくいかんもんだ。

 

マクロンって、友愛で移民OKで、きれい事ばかりで、女房は略奪婚で・・・、

どっかの国のルーピーと、同じじゃねーか(笑)

 

ああ、おフランスも終わりだぁ。

花のパリも、一歩裏道に入ればスラム状態というのですから、

いろいろと(観光などにも)悪影響があるでしょう。

もう、海外旅行に行くのが怖いという人は周囲で何人もおります。

《墓穴》掘ったなー、フランスは。

 

 

実は、フランス人はフランス大革命で、国王を殺しちゃった王殺し(レジサイド regicide)のトラウマに

今も密かに苦しんでいると聞きます。

特に幼いルイ17世(ルイ=シャルル)に対するむごい仕打ちは、

あまり外国人には言われたくない感じです。

 

しかし、そこから目を背けたことが、現代フランスの混乱の一因のような気がします。

 

私も『ベルサイユのばら』でフランス革命を知ったくちなので、

『ベルばら』とその原作のステファン・ツヴァイクに、だいぶ長い間だまされてきました。 

 

特にルイ16世は愚鈍な国王では全くなかった。むしろ、英明で人道的で、読書家で教養があり、

平和な時代だったらアンリ4世ばりの名君と呼ばれてもおかしくないほどの国王でした。

 

(アンリ4世は『ナントの勅令』により宗教戦争を終結させた、フランス第一の名君です)

 

生まれる時代と職業を間違えたような、善良で優しい人でした。

 

実は、私は『ベルばら』のルイ16世が密かに好きでした。(他にはアランとジュローデルが)

見た目はカッコ良くないし無力ではあるが、妻の不幸に涙する心優しき国王・・・、

恥ずかしくて人には言えませんでした。 (;^_^A

 

反対にフェルゼンは嫌いでしたね。カッコばかりじゃん、この男、と内心思っていた。

で、やっぱり正しかったのです、私の男を見る目(笑) (^_^)vイエイ

(池田理代子先生も、ルイ16世が理想の男性とインタビューで答えていたのが印象的です)

 

 

 

 

フランスではルイ16世の再評価が進んでいて、日本語でも読めます。

評伝社と中央公論社とで出ていますが、中央公論社のは上下2冊で分厚い!

手ごろなのは評伝社のほうなので、こちらをお勧めします。

 

ルイ16世 Wikipediaより

 

いや面白いのなんの。いかに『ベルばら』に騙されていたか分かり、恥ずかしかった。

「寛容令」を出して中世以来の農奴を廃止したり、税制改革をやったりと八面六臂の活躍。

シェルブールに軍港を開き、フランス海軍の基礎を築く、

財務統監には自由経済主義者のチェルゴーを起用・・・、と全然イメージが違うのです。

 

愚鈍どころか英邁(えいまい)な国王ではないですか。

 

優秀なのに時代の変化についていけないことが、ルイ16世の命取りになりました。

 

彼の功績で特筆すべきは、アメリカを独立させてあげたことでしょう。

アメリカ独立の最大の功労者は、ルイ16世と言っても過言ではない。

 

内政がなかなかうまくいかず、外交で頑張ろうと思い、意気に感じたのか英国への面当てか、

あらゆる手段でアメリカ独立戦争を支援しました。

皮肉なことに、これが国家財政破綻の一因になってしまいました。

 

アメリカ合衆国は今もルイ16世に感謝し、国王処刑後200年後にあたる1993年1月21日に、

処刑が行われたパリのコンコルド広場で駐仏米国大使が献花したほどです。

 

この人がデカい顔出来るのも、ルイ16世のお陰だから・・・

 

と言うことは無駄遣いしてたのはマリー・アントワネットじゃなくてルイ16世のほうだった?

(マリー・アントワネットも今見直しが行われていて、

贅沢はジョゼフィーヌ(ナポレオンの妻)のほうが凄かったと言われています)

 

それからルイ16世は背が高かった。192cm(!)もあったといわれています。

筋肉質で膂力が強かった。それは、迫力あったでしょう。

肥満したのはタンプル塔に収監されて、日課の狩りが出来なくなったためらしいです。

 

錠前作りが趣味なくらいだから機械工学にも詳しく、

ギロチンの刃を斜めにするよう提案したのはルイ16世でした。

処刑囚に余計な苦痛を味合わせないためです。

 

帝王学を受けなかったためか(王太子であった父の三男ですから)、おっとりと優しい性質でした。

まさか、自らで試すことになろうとは・・・

 

この本を読んで「マリー・アントワネットの映画はもういいから、

フランスは本気でルイ16世の映画を作りなさい!」と思ったほどです。

 

どうせベルサイユ宮殿ロケするなら、ファッションだけの

『マリー・アントワネット』(監督:ソフィア・コッポラ)みたいな映画を作るんじゃないよ!

アンジェイ・ワイダの『ダントン』クラスの映画を作れば、見る人は見ます。

 

「民たちよ、私は罪なくして死んでゆく。私の流す血がフランスの礎とならんことを祈る」

と言って死んでいった人に対する最大の手向けになるはずです。

(このセリフ、サン・ジュストの「人は罪なくして王たりえない」という演説に完璧に呼応しているのに

気づきます。バカではない証拠です)

 

ルイ16世の裁判の様子を映画化すればいいんじゃないかと、脳内映画企画をしてしまった(笑)。

『わが命つきるとも』(監督:フレッド・ジンネマン)みたいな感じで。

 

当然ロベスピエールやサン・ジュストも出てくる。

危険な国王弁護の役目を引き受けた《高潔の士》マルゼルブも登場する。

その中で、国王としていかに過酷な運命に立ち向かい、いかに誇り高く振る舞うか・・・

回想場面では美しいベルサイユロケで、幸せな家族の時間が流れる。

 

ラストでは処刑台に向かう国王の背中で場面を切り替え、

200年後の米国大使の献花の様子を流して終わり。

クレジットで、国王裁判に関わった人たちの、その後の運命を告知する(ほとんどが処刑)。

 

なかなか良い映画じゃないか(笑)。

 

こんな立派な旦那がありながら、女房はほかの男と・・・

これを悲劇と言わずして何と言う(怒)

 

(なんで妻だけが『悲劇の王妃』と呼ばれるのよ?)

 

 

ただルイ16世にも欠点はありました。

世間知らずの(バリバリの)理系男子お坊ちゃまだから、人の心の機微にうとい。

自分で任命したチェルゴーが貴族たちから袋叩きにされても助けてあげない。

 

そりゃ、ダメだって。ちゃんと上司として守ってやらないと。

 

コミュニケーションが苦手でぶっきらぼう。理系男子にありがちな欠点です。

 

 

理系男子とおしゃべり大好き、女子会大好きの少し頭の軽い奥様とでは

なかなか上手くゆかなかったでしょう。それで、フェルゼンの登場となるんでしょう。

 

(しかし、そうしょっちゅうフェルゼンに会っていたわけでもない、

ルイ17世がどちらの子供か悩ましいところです)

 

革命前の、フランス国内のルイ16世人気はなかなかのもので、

三部会開催前にはフランス各地から、

「ルイ16世の銅像を建てたい」という申し出が殺到したといわれます。

 

良い人ですからね、ベストではなくともベターな王様としてフランス人はみていた。

それから、国王処刑までわずか4年しかない。歴史の激流の時期だったのですね。

 

惣領冬実さんの『マリー・アントワネット』をお読みになられて、

穏やかで愛しあっている夫婦の様子に驚かれた方も多いかもしれませんが、真実です。

 

ヴォーグの表紙を飾るマリー・アントワネット

 

 

しかし、この二人、お互いがお互いの首を絞めあう(笑)という、世にも珍しいカップルでした。

ルイ16世はご存知の通り、寵姫(公式愛妾)を持たない国王でした。

自らの淡泊さゆえと、祖父ルイ15世の激しい女遊びを見て自戒していたのです。

 

それが、結果として王妃への激しいヘイト・キャンペーンに繋がり、

女房を泳がすためにプチ・トリアノン宮殿をプレゼントしたら、またそれが中傷のネタになってしまった。

 

マリー・アントワネットは、ほとんど夫の仕事に口出しできませんでしたが、

ルイ16世が珍しく妻のいうことを聞いたら、《墓穴》を掘ってしまったのです。

 

それが、『首飾り事件』を高等法院で裁くこと、逃亡計画を承知してしまったことです。

ルイ16世は当初ロアン大司教を、宮廷裁判所で裁く予定でした。(これだと非公開の裁判)

ところが、高等法院は長らく王家と対立してきた機関のうえ、裁判は一般公開ですから、

ロアン一族は法官の買収などで裁判を有利に進め、ロアン大司教は無罪になってしまう。

 

結果、王家の威信に大きく傷がつきました。

そして気の乗らない逃亡計画に同意して失敗したことが、断頭台への道となりました。

女房のいうことなんか無視しておけばよかったのに・・・、嗚呼 (>_<)

 

 

かじ取りを間違えちゃったな、というのが管理人の感想。

上手くいけば、ソフトランディングで立憲君主制にもっていけたかもしれないのに。

この方は、つくづく《乱世》には向いていなかったのですね。

 

 

英国のピューリタン革命では国王は処刑されても、王妃と王子はフランスに亡命していて無事でした。

そのおかげで王政復古がかない、英王室は現在も健在です。

 

ところが、フランスでは王妃と王子も犠牲になり、

約800年続いたカペー王朝そのものがなくなってしまったのです。

この喪失感たるや(200年経っても)なかなか埋められないものなんでしょう。

 

国王処刑後、約1年半年後にテルミドールのクーデターが起こり、ロベスピエール達は失脚します。

処刑場に連行されるロベスピエールやサン・ジュスト達に浴びせられた罵声は「王殺し!」でした。

何という歴史の濁流!

 

 

だから、天皇制廃止なんて軽々しくいうものではありません。

天皇にふさわしい文仁親王に天皇陛下になっていただけば、

すべては解決する問題じゃないの。

 

 

立憲君主制は息が長いし、国家が安定するのです。

万世一系のわが日本が、世界に稀に見る安全な国家なのは天皇制にも一因があります。

 

 

ルイ16世が超凡庸な国王で、マリー・アントワネットが

「パンがなければお菓子を食べたらいいじゃない」といったバカ女(実際は言ってない)と

長らく言われていたのは、殺した側の『罪悪感』がさせた一面もあるのです。

 

革命が正義なら、国王や王妃は『悪』でなければならない。

現在のフランス政府も共和制(革命側)の流れを汲んでいるのですから。

 

 

 

ちなみに、私がフェルゼンをキライなのは動機が不純だから。

どう考えてもフェルゼンって、

(スェーデンの)グスタフ3世のスパイだろっ?!

としか考えられないからです。

 

(マリー・アントワネットの手紙をいちいちグスタフ3世に回覧していたんですよ、この男。信じられん)

 

人間だから、情にほだされた部分とかはあったと思う。

スパイとして優秀だったかは?ですね。(軍人としてはなかなかでしたが)

ヴァレンヌ逃亡事件の時、二時間も道に迷うか?

下調べとかシュミレーションとかあらかじめしておかんのかい?

ダメだこりゃ、って感じではないでしょうか。

 

ルイ16世はフェルゼンの逃亡計画に最後は乗りませんでした。信用できなかったということでしょう。

 

夢を壊して、申し訳ありません。が、現実はなかなか厳しいものです。

 

惣領冬実さんの『マリー・アントワネット』でも、ルイ16世はなかなかカッコ良く描かれていました。

ルイ16世をカッコ良く描くのは最近のトレンド(?)でしょうか。

(他には『第3のギデオン』や『イノサン』とか)

長らく密かなファンとしては嬉しく思っています。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

皆さまがお幸せでありますように。

 

 

 

(私用、その他の理由で、更新頻不定期になります。お気になさらず)